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夜明けまで【前篇】/【後篇】

ライズ&フォール【前篇】/【後篇】

まだまだあるけど、取りあえずここまで。

夜明けまで〜前篇〜

ミシ、ミシ、ミシ・・・

夫が帰って来たのがわかりました。

父の残した古い平屋の一戸建ては、玄関から各部屋へ板の廊下が続いています。

夜になると不気味なほど真っ暗になり、電気を付けないと大人でも気持が悪いほどです。

私と夫、そして私の母の三人で住んでいますが、誰でもその廊下を通ると、ミシミシと音が鳴ります。

特に体の大きい夫が歩くとその音は一段と大きく、会社から帰って来た時、夜中にトイレに行く時など、夫が廊下を歩くとそれが夫だとすぐにわかるのです。

家の前には小さな庭があり、私の母が趣味で、花や少しの野菜を育てています。

居間の大きな窓からは、その庭の様子がよく見えて、母は家の中にいる時はいつも窓の方に顔を向け、自分の作品を楽しんでいます。

昼間の我が家はとても日当たりが良くて明るいのに、夜になってしまうと同じ家とは思えないほど、暗く湿った武家屋敷のような感じさえするのです。

私と夫は、ずいぶん前から別々に寝ています。

もちろん母も別の部屋に寝ています。

三人が別々の部屋に寝ているのです。

でも前は普通の夫婦のように、ダブルベッドに二人で寝ていたんです。

ある時、私の仕事が忙しくて、朝早くからミシンを踏まなくてはならないので、その仕事部屋に布団を敷いて寝ました。

それがきっかけでそれからずっとそうなってしまった訳です。

夫と別々に寝てみると、それはとても快適で、今まで何年もどうして隣で寝ていたのかと不思議に思うくらいでした。

そして、そのころからかいつからか全然覚えていないのですが、夫は私の名前を呼ぶことをやめてしまいました。

私もそうだからお互い様ですが、夫も私に対してどうしても用事のある時に、「お前」というだけになってしまいました。

それも本当に用事のある時だけで、何もなければほとんど話す事もなくなってしまったのです。


ミシ、ミシ、ミシ・・・

「ただいま」

「おかえり」

夫は一人で、冷蔵庫を開けてビールを出し、冷めてしまったおかずを温めもしないで食べ始めました。

平日夫が帰って来るのは夜遅いので、母は大抵休んでしまっています。

顔を合わせることはあまりありません。

私は、テレビを見ながら一人で晩酌をしている夫を横目でみて、本当に、なんでこの人と一緒に住んでいるのかしら?とつくづくそう思いました。


一つ、気がかりなことがありました。

それは、夫の母親が病気で入院していて、あまり良くないのです。

夫はとてもお母さん子で、よく言うマザコンでは?と思う事がありました。

その日も夫は、飲みながら面倒くさそうに、

「明日、お母さんの病院行くけど、お前は」

と言いましたから、

「私は、仕事がひと段落ついたら行くわ。明日中に縫って送らないといけないものがあるのよ。」

「忙しいなら無理するな、一人で行くから。」

きっとお母さんと二人きりがいいのだろうな、と感じましたし、そう感じたのはその時だけではありませんでした。

そのような毎日を送っていましたが、ある日、とうとう夫のお母さんは亡くなってしまいました。

その直後から、信じられないような恐怖が少しずつ近づいてくるなんて、私はちっとも知りませんでしたが。

それは葬儀が終わったあと、すぐに始まりました。

夫はこう言ったのです。

「鏡子ちゃん、疲れたね」

私はドキッとしました。ろくに話もしない夫がなぜか急に付き合っていた頃のように、私を鏡子ちゃんと呼んだのですから。

最初は少し嬉しいような気がしました。

もしかして、私たちは持ち直すかも・・・?

しかし、それはあり得ませんでした。

なぜならば、夫は私を鏡子ちゃんと呼ぶようになったと同時に、一日に何度かとても奇妙な表情をするようになったからです。

どんな顔かというと、まず、目を見開いたまま、しばらくの間、瞬きもしないで空中を見ています。

顔じゅうの筋肉が力なく下がり、口は辛うじて閉じているという感じ。

目だけが異常に大きく開いて、焦点が合っているのかいないのかわかりません。

それに一体何もない空中を、なぜそんなに目を皿のようにして見つめる必要があるのでしょうか。

それとも夫には何かが見えているの?!

そして何よりも嫌だったのは、その恐ろしい目をそのまま私の方にゆっくりと向ける時。

身の毛がよだつほどの恐ろしさを感じました。

そういう時私は、夫のその恐ろしい目線がこちらに届く前に、必ずくるりと背中を向けて用もないのに台所に行ったり、洗面所に行ったりします。

でも必ず後から「鏡子ちゃん・・」と呼びとめられ、その度に大きな手で心臓をギュッと握られるような感じがするのです。

前から夫とほとんど会話していなかった私ですが、夫のお母さんが亡くなってからはまるで避けるようになってしまいました。

それとは裏腹に、夫は常に私を意識し、家にいる時は、必ず私が何をしているか遠くからでも確認しているのがはっきりとわかりました。

そして私の方が、夫が何をしているか気になって、そっと夫の方を見てみたりすると、開いた新聞を持った姿勢のまま固まって、眉を思い切りおでこの方に上げて目を見開き、空中の何かを凝視していたりするのです。

時にはそのまま口を「あっ」という風に開けている時もあるのです!

そんな日々が何日続いたでしょうか。

私はもう頭がおかしくなりそうでした。

母も夫の豹変ぶりには驚き、そして怯えていました。


ある日曜日、いいえ、日曜日から月曜日にかけて、恐ろしい事件が起こりました。

その事があったからこそ、私はこうしてここに書き綴っているのです。

その日はとても良いお天気で、気持ちの良い日曜日でした。

夫は仕事が休みでしたので、一日中家にいて、ゴロゴロしたり、私の仕事部屋を覗きに来たり、母に何やら話しかけたりして、楽しそうに過ごしていました。

例の気味の悪い表情をしていたのかはわかりません。

何しろ私は仕事に夢中で、夫の方を見ることがありませんでしたから。

暗くなりました。我が家は夜になると、電気を点けていてもなぜか暗く感じる不思議な家でしたから、私は日が暮れるとよほどのことがない限り、早々に仕事を切り上げていました。

暗くて手元が良く見えないからです。

仕事部屋から居間に戻りました。

夫は、テレビを見ていました。

母もそこにいて、料理の雑誌なぞをパラパラとめくっていました。

私はエプロンをして、食事の支度をはじめました。

まずは野菜を洗って・・・不意に夫のことが気にかかりました。

見ないようにしようと思っても、どうしても気になって仕方ありません。

そして遂に私は、そおっと夫のいる方を振り返ってしまったのです。

私の目には、夫よりも先に母が見えました。

恐怖に凍りついた母の顔が!

母が何を見て脅えているのか、言うまでもありません。

私はどうしてもそれを見るのが嫌ですから、そのままサッと振り返って野菜をまな板にのせました。

ああ、夫が何も言いませんように!

「・・・鏡子ちゃん。」

私はあまり恐ろしくて返事も出来ませんでした。

聞こえないふりをしてそのまま料理を続けるしかありません。

しばらくの間、そうしていました。

夫はそのままテレビを見ているのでしょうか?妙に静かです。

そしてその時、私は耳の裏に熱い吐息を感じました。

「鏡子ちゃん・・・」

ギャッと叫びそうになりました。

「・・何を作っているの?」

夫の大きなねっとりとした手が私の肩を抱き、その時は本当に、背筋に氷水を一滴垂らされたような悪寒がしました。

「適当に・・・あるもので・・」

私はそう答えるのが精一杯でした。

そのあと、夫は

「今日はワインにしよう。お義母さんは?」

と言って食器棚を開けました。

母の

「えっ、あ、あ、私はなんでもいいよ。」

という上ずった声が聞こえました。

夫は食事が済むと、酔っ払ってすぐに寝てしまいました。

私と母は台所に並んで食器を洗い、終わると二人で食卓テーブルについてお茶を入れました。

その時の安堵感、わかりますか?

しばらく二人で黙っていました。

先に重い口を開けたのは母でした。

「鏡子、このままでいいのかい。お母さんのことは気にしなくていいから、あんたが良いようにしなさい。まだ若いんだから・・・」

まだ若いんだからの後に、離婚して誰か他の人と、という母の心の中の声が聞こえたような気がしました。

「よく考えてみるわ。私もお母さんもこのままでは参ってしまうものね。」

私は恐ろしくて言葉には出来ませんでしたが、心は夫と別れたいという思いでいっぱいでした。


後篇へ続く

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